研究 (Research)
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環境の要因が子どもの健康にどのように影響するのか The Impact of Environmental Factors on Children’s Health
教授 川﨑 良( 医学系研究科 ) KAWASAKI Ryo (Graduate School of Medicine)
研究の概要
化学物質をはじめとする環境要因が子どもの健康に与える影響を解明することを目的に、2010年度より開始された大規模疫学調査「エコチル調査」に参加しています。この調査では、環境省の取りまとめのもと、国立環境研究所が中心となり、全国15か所のユニットセンターや国立成育医療研究センターの協力により実施されています。2011年から2014年にリクルートした約10万組の親子を対象とし、胎児期から学童期、さらに成人期までの健康影響を追跡しています。大阪大学もユニットの一つとして、生体試料の採取、質問票調査、参加者とのコミュニケーション、地域ネットワークの構築などに取り組んでいます。これまでに、精神神経発達、免疫・アレルギー、生殖機能、代謝・内分泌系への影響を対象にした調査を通じて、着実な成果を上げてきました。これらの成果は、化学物質リスク管理の政策立案や、次世代育成における安全で健やかな環境の実現に寄与しています。エコチル調査は、国際的にも注目されており、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向けた科学的根拠の提供を通じ、持続可能な社会の構築に貢献しています。
ビジョン
エコチル調査は、化学物質ばく露が胎児期から成人期、さらには次世代に及ぼす長期的な健康影響を解明する国家プロジェクトです。今後、小児期以降も追跡を拡大し、ライフコース全体を視野に入れることで、不妊症や精神神経疾患、生活習慣病などの年齢依存性疾患との関連を明らかにし、新しい世代への影響を含めた知見を蓄積します。このようなデータは、化学物質リスク管理や保健医療政策の基盤を構築し、安全で持続可能な社会づくりに寄与します。また、国際間比較を通じて日本固有のデータを世界的な課題解決に活用することで、SDGs目標3「すべての人に健康を」や目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献し、次世代のいのちを守る道筋を示します。
担当研究者
教授 川﨑 良( 医学系研究科 )
キーワード
環境要因/子どもの健康/ライフコースアプローチ/エコチル調査
応用分野
環境政策、予防小児科学、ライフコース疫学
連絡先
大阪大学大学院医学系研究科 社会医学講座・公衆衛生学 川﨑 良 office@pbhel.med.osaka-u.ac.jp
