研究 (Research)

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ケミカルリサイクル可能な高性能ポリマーの開発 (Controlled degradation of chemically stable polymers via directing group-assisted catalysis)

教授 鳶巣 守 (工学研究科 応用化学専攻) TOBISU Mamoru (Graduate School of Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

English Information

研究の概要

耐熱性、耐薬品性に優れ、かつケミカルリサイクル可能な高性能ポリマーを開発しました。開発したポリマーは触媒を用いることで比較的温和な条件でモノマー単位へと選択的に分関することが可能です。得られたモノマーの再重合ににより元のポリマーをその性能をそこなうことなく再生することができます。

研究の背景と結果

環境保全、資源循環の観点からプラスチックのリサイクル技術の確立は喫緊の課題です。プラスチックの主成分であるポリマーのリサイクル技術の中でも、ポリマーを原料モノマーに選択的に分解し再利用するケミカルリサイクルは、CO2排出量が少なく、繰り返し再利用可能であるなどのメリットがあります。
しかし、モノマーへと選択的に分解可能なポリマーは PET 樹脂のように主鎖が切断されやすい結合からなるポリマーに限定的であり、耐熱性や耐薬品性に優れる高性能ポリマーのモノマーへの分解は未解決課題でした。これは、ポリマーの主鎖が酸や塩基などでは簡単には切断できない強い化学結合から構成されているためです。本研究では、配向基とよばれる触媒と相互作用可能な官能基を PPE や PEEK に代表されるポリフェニレンエーテル型のポリマーに導入した新しいポリマーを開発しました。このポリマーは酸や塩基に対して高い安定性を示し、熱的にも安定(5% 重量減少温度400℃以上)であるのに対して、ニッケル触媒を用いることで主鎖の炭素-酸素結合を切断し、低分子化合物へと選択的に分解可能でした。ここで得られた分解物は数工程の化学変換を経ることにより、元のポリマーへと再重合させることができます。配向基の導入により、ポリマーの熱的、化学的安定性を損なうことなく、触媒により選択的に分解することが可能となります。分解物は再重合により元のポリマーへと戻すことができます。
本研究成果により、フェニレンエーテル型に限らずケミカルリサイクル可能な多様な高性能ポリマーの開発が促進されることが期待されます。今回導入した配向基は、様々な化学構造を持つものが導入可能であるので、その分子設計によるポリマーの物性制御も可能であると考えられます。

研究の意義と将来展望

これまで耐熱性、耐薬品性に優れる高性能ポリマーは安定で分解できないためケミカルリサイクルが困難でした。本研究により、主鎖に配向基を導入することで触媒を用いて分解可能であることを実証しました。ケミカルリサイクル可能な様々な高性能高分子の分子設計指針を与えるものであり、この設計に基づいた様々な材料開発が期待されます。

担当研究者

教授 鳶巣 守 (工学研究科 応用化学専攻)

キーワード

ケミカルリサイクル/高性能ポリマー/触媒

応用分野

高性能ポリマー、ケミカルリサイクル

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20241007_1
https://researchmap.jp/read0156480

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2025(未来社会共創を目指す)より抜粋・修正したものです。