研究 (Research)
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高性能半導体材料への世界最高効率・低消費電力室温スピン注入 (Highly efficient and low-power consumption spin injection technology into next-generation high-performance semiconductors)
准教授 山田 晋也 (基礎工学研究科 附属スピントロニクス学術連携研究教育センター ) YAMADA Shinya (Graduate School of Engineering Science)
研究の概要
窒化ガリウム(GaN)は、青色発光ダイオードなどの発光デバイスや、パワーデバイスなどの電子デバイスの半導体材料としての研究開発が盛んに進められているが、電子のスピン自由度を積極的に活用するスピントロニクス分野においても期待され始めている。本研究では、高性能スピントロニクス材料(ホイスラー合金磁石)/GaN 直接接合が実現する低抵抗電極構造を用いた低消費電力・高効率スピン注入技術を開発した。
研究の背景と結果
窒化ガリウム(GaN)は、青色発光ダイオードなどの発光デバイスや、パワーデバイスなどの電子デバイスの半導体材料としての研究開発が盛んに進められていますが、電子のスピン自由度を積極的に活用するスピントロニクス分野においても期待され始めている。特に、室温でのスピン緩和時間が長いと考えられていることから、室温で動作するスピン発光デバイス用の半導体材料として魅力的な材料とされており、半導体技術とスピントロニクス技術の融合を目指した研究が国内外で盛んに進められている。2017年に電流注入方式の GaN 系スピンレーザーの室温実証が報告されているが、絶縁体トンネルバリア層を用いた高抵抗のスピン注入電極構造を用いているため、レーザー発振のために大電圧を印加する必要があるという課題があった。また、スピン注入源として用いた磁石のスピントロニクス材料としての性能が低いため、半導体へのスピン偏極状態の生成効率も低いという課題があった。
これらの課題を解決するために、高性能スピントロニクス材料(ホイスラー合金磁石)/GaN 直接接合が実現する低抵抗電極構造を用いた低消費電力・高効率スピン注入技術を開発した。しかし、体心立方構造のホイスラー合金磁石とウルツ鉱型結晶構造の GaN は、結晶構造が大きく異なり、表面の原子配列も整合していないため(図1左)、GaN上にホイスラー合金磁石を高品質に作製する(エピタキシャル成長する)ことは極めて困難であった。本研究では、ホイスラー合金磁石と GaNの接合界面に六方最密充填結晶構造のコバルト(Co)を数原子層(約0.4 nm)挿入することで、GaN 上にホイスラー合金磁石をエピタキシャル成長し、ショットキートンネル直接接合を実現することに成功した(図1右)。また、独自に開発した微細加工プロセスを用いて、ショットキートンネル直接接合電極構造を用いたテストデバイス構造を作製し(図2、図3左)、室温でスピン注入信号を観測することに成功した(図3右)。



研究の意義と将来展望
2017年に電流注入方式の GaN 系スピンレーザーの室温実証が報告されているが、絶縁体トンネルバリア層を用いた高抵抗のスピン注入電極構造を用いているため、レーザー発振のために大電圧を印加する必要があるという課題があった。また、スピン注入源として用いた磁石のスピントロニクス材料としての性能が低いという課題があった。
本研究では、高性能スピントロニクス材料と GaN の間に絶縁体トンネルバリアを挿入していない低抵抗のスピン注入電極構造を用いているため、従来よりも3桁以上低い接合抵抗値を実現し、低消費電力でのスピン注入を実現した。また、スピン注入源として高性能ホイスラー合金磁石を利用することで、従来よりも3~4倍以上高いスピン注入効率を実現した。今後、電池レベルの低電圧で駆動するスピンレーザーの開発などにつながることが期待される。
担当研究者
准教授 山田 晋也 (基礎工学研究科 附属スピントロニクス学術連携研究教育センター )
キーワード
スピントロニクス/窒化ガリウム/ホイスラー合金/スピン発光デバイス
応用分野
電子デバイス、情報通信デバイス
参考URL
http://www.semi.ee.es.osaka-u.ac.jp/hamayalab/index.html
https://researchmap.jp/shinyayamada
