研究 (Research)

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フリーズドライ技術を用いた長期・常温保存可能な輸血用赤血球製剤の開発

アルバック未来技術協働研究所

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)
  • 協働研究所 (Research Alliance Laboratory)

取組要旨

アルバック未来技術協働研究所では大阪大学医学系研究科産科学婦人科学教室と共同で赤血球の凍結乾燥技術の開発を行っています。
国内の妊産婦死亡は減少傾向にありますが、出産での大出血(産科危機的出血)は大きな問題であり、健康な女性でも放置すれば数時間で死に至る可能性があります。このような状況では、輸血用赤血球製剤を早急に使用し、患者へ輸血することが望まれます。しかし、日本の分娩の過半数を担う小規模施設では、これらの輸血用製剤は常備されていません。理由は、輸血用製剤を発注すると使用期限が近づいても返却できず、使用しなければコストを回収できないためです。
本研究では、即座に輸血開始が可能かつ長期間備蓄を実現するために、凍結乾燥(フリーズドライ)赤血球の開発を行っています。赤血球は細胞の一種であり、細胞の損傷は凍結過程・乾燥過程のどちらの過程でも起こります。これらの過程において、細胞の機能性を維持できる技術や手法の開発・発見を目指しています。

研究成果・インパクト

赤血球の凍結乾燥技術を開発することで、保管や移送が簡便な輸血用赤血球製剤の製造技術の確立を目指します。国内での分娩の約半数を占める小規模医療機関や、世界中の医療施設が整備されていない貧困地域など、緊急輸血へのアクセスが悪い状況下で発生した出血への緊急輸血が将来的に可能となり、より多くの人命を救うことに繋がります。

担当研究者

此尾 友花(大阪大学大学院 工学研究科 博士課程後期)、國吉 望月(アルバック未来技術協働研究所)、本多 秀峰(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学教室)

キーワード

凍結乾燥

応用分野

医薬品