研究 (Research)

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サステナブル材料の開発(多糖型高分子の修飾によるサステナブル材料の開発)

日本触媒協働研究所

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)
  • 協働研究所 (Research Alliance Laboratory)

取組要旨

当所では次の100年に必要な材料の一つとしてサステナブル材料の開発が重要と考えており、豊富に存在し再生可能な天然資源であるセルロースやでんぷんなどの多糖類を修飾することで高機能な材料を得る検討を進めている。
例えば、酢酸セルロースから常温、シングルステップで多孔質セルロースビーズの合成に成功しており(図1)、このものは吸水性と剛性を有し、活性炭等との複合化も容易なため、水浄化、消臭剤等の用途が期待できる。更に、任意の形状に成型することも可能で、新たな材料分野への応用も検討中である。
また、でんぷん粒子を安価で低毒性な化合物で修飾することにより、短時間で効率的に吸水性の材料を得ることにも成功している(図2)。この吸水性材料は毒性が無く、生分解性に優れるため、土壌改質用の保水材等の応用が考えられる。このものは海洋等への流出があったとしてもマイクロプラスチック等の問題は起こらず、環境負荷も極めて低い材料である。砂漠の緑化や農業関連の材料として大いに期待できるものと考えている。

図1
図2

研究成果・インパクト

当社は紙おむつの原料となる高吸水性ポリマーのトップメーカーである。現在主流の高吸水性ポリマーは石油原料から作られるアクリル酸を主原料としており、必ずしもサステナブル性が高いとは言えない。将来を見据えた場合に原料・製法転換の必要性もあり得る為、再生可能な資源を原料とした代替材料の検討は重要である。当社はすべての人が安全で快適な生活を送れることを目的としており、当所で検討している高機能なサステナブル材料は世界共通のゴールであるSDGsの目指す、人口・経済・環境・暮らし等の目標に貢献できるものと考えている。

担当研究者

原田信幸(日本触媒協働研究所)

キーワード

サステナブル、吸水、吸湿、消臭、生分解、多孔質、植物育成、保水、生態適合性、マイクロプラスチック

応用分野

植物育成、砂漠緑化、衛生関連材料、消臭剤、吸着剤、保水材

その他

弊社は、「TechnoAmenity ~私たちは、テクノロジーをもって、人と社会に豊かさと快適さを提供します。~」を企業理念としており、これを進めることでSDGsの達成に貢献して行く所存である。