研究

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在留外国人増加の経済的影響

山本 和博(経済学研究科)

  • 人文学社会科学系
  • 経済学研究科・経済学部

取組要旨

2019年、在留外国人は約282万人を数え、過去最高を更新した。2012年以降、在留外国人は右肩上がりで増えており、そのうち50パーセント以上が東京、大阪、名古屋を中心とした三大都市圏に住んでいる。本研究はそういった在留外国人の増加が日本の大都市における日本人と在留外国人間の文化的融和に与える影響を理論的、実証的に明らかにしている。本研究では、在留外国人の増加により、外国人の受入国文化への適応は進むものの、受入国国民は外国文化を受容しないことが理論的に示された。東京都市圏のデータを使って実証的に検討した結果、以上の理論的結果は実証的にも支持された。在留外国人が受入国の文化に適応するものの、受入国国民の外国文化への適応が進まないことの背景には、多数派である受入国国民が少数派の文化を受け入れる必要性が薄いことが挙げられる。逆に、在留外国人は少数派であるがゆえに、受入国文化に適応する必要があるのである。これは、在留外国人の増加とともに、文化的軋轢の高まりが増えることを意味しており、受入国国民が在留外国人の文化に関心を持つことが文化的軋轢の解決には重要であることを意味している。

研究成果・インパクト

日本の在留外国人は年々増加しているが、それに対して日本人の在留外国人の受け入れ態勢が十分であるとは言い難い。本研究は、その背景に日本国内では多数派である日本人の外国文化への無関心があることを指摘しており、それが理論的には必然の結果であることを示している。受入国である日本人の外国文化への無関心は、人や国の平等を損ない、さらには住み続けるまちづくりを行う上での障壁となり、在留外国人だけではなく、日本人の経済厚生も大きく減少させる。本研究は、外国文化を受容するための教育が在留外国人だけではなく、日本人の経済厚生を改善するために重要であることを示している。

担当研究者

山本 和博(経済学研究科)

キーワード

在留外国人、文化的摩擦

応用分野

都市経済学、労働経済学