研究 (Research)

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教育システムにおける排除と包摂

志水 宏吉(人間科学研究科)

  • 人文学社会科学系 (Humanities and Social Sciences)
  • 人間科学研究科・人間科学部 (Graduate School of Human Sciences, School of Human Sciences)

取組要旨

担当者は過去20年ほどにわたってニューカマーと呼ばれる新来外国人の子どもたちの教育支援をテーマとした教育研究に携わってきた。また今年度、会員をつとめる(9月30日に任期満了で退任)日本学術会議の心理学・教育学委員会から、標記テーマに密接に関連する「すべての市民に無償の普通教育を」という提言を発出した。それらの経験をもとに調査研究の裾野を広げ、今年度から科研費・基盤(A)を獲得し、新たな研究プロジェクトに従事している。タイトルは、「学校システムにおける排除と包摂に関する教育社会学的研究-マイノリティの視点から」である。格差社会の進行のもとで、教育システムから排除されることは各種の社会的排除に直結する。いかに弱い立場にいる人たちを学校教育のなかにうまく包摂していくことができるかが、その結びつきを弱めるカギとなる。対象に設定したマイノリティ集団は、「外国人」「障害者」「貧困層」「被差別部落の人々」という4つのグループである。それらのグループに属するティーンエイジャーに対するインテンシブな聞き取り調査を実施し、教育システムが内包する排除性とそれを克服する筋道を明らかにしたい。

研究成果・インパクト

SDGsの目標04は「質の高い教育をみんなに」というものである。その質の高さを保障するキーワードがequity(公正)とinclusion(包摂)である。すなわち、教育はさまざまな立場や能力を有する一人ひとりを大切するものでなければならず(公正)、かつ一人ひとりに居場所を与えるものでなければならない(包摂)。当事者(聞き取り人数はおよそ80名を予定している)の語りから、現代日本の学校教育システムが有する課題をあぶり出すことを通じて、私たちは未来に向けた、公正で包摂的な学校システムのあり方を構想することが期待できる。

担当研究者

志水宏吉

キーワード

教育における排除・包摂、マイノリティ集団・後期中等教育機会

応用分野

教育社会学